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川湯温泉(かわゆおんせん)は、北海道川上郡弟子屈町にある温泉である。川湯の名は、アイヌ語の「セセキ(熱い)ペツ(川)」を意訳したものである。温泉街のなかを高温の温泉川が流れている。
高温の湯が流れる温泉川の源流である湯元を中心に、20軒余りのホテル・旅館・土産物店・飲食店等が温泉街を形成している。町中に湯の川が流れ、湯けむりと硫黄の香りが漂う情緒深い温泉街である。
その他にも無料の足湯や、共同浴場(有料)もある。湯量が豊富であり、強酸性泉で循環機器に不適なため全ての施設が掛け流しである。
温泉街周辺には、環境省の川湯エコミュージアムセンターや、この地で少年時代を過ごした元横綱の大鵬幸喜に関する資料館の弟子屈町川湯相撲記念館、温泉熱を利用した屋内プール、地元の信仰を集める川湯神社等がある。
温泉川が流れていることから、湯治場としての川湯の起源は定かでない。宿泊施設としては、1886年(明治19年)に温泉宿が設立された記録があるが、すぐ閉鎖された。その後1904年(明治37年)にロシア風建築の温泉宿が設立され、これが現在の川湯温泉のおこりとされる。
大正時代まではこの1軒のみが細々と営業を続けていたが、自動車が通行可能な道路の開通に続き、昭和に入って釧網本線が開通したためにアクセスが改善され、湯治客は激増した。
第二次世界大戦中は観光需要が冷え込み、また終戦後すぐの1948年には大火災に見舞われるなどした。しかし、1953年に公開され大ヒットした映画『君の名は』で屈斜路湖周辺が撮影地となったことから、当地を訪れる観光客が再び激増し、温泉街は急速に発展した。
1970年代までは冬季の道路閉鎖が多かったが、その後除雪体制や道路整備が進み、年間を通して温泉客を呼び込む体制が整った。
なお、「川湯」の由来については、前述のアイヌ語「セセキベツ」を意訳する際、既に函館近郊の湯の川温泉(こちらはアイヌ語「ユ(湯)ベツ(川)」の意訳)が存在していたため、「川湯」と順序を変えたとされている。